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給与条件のダウンは覚悟する
給与条件より、仕事のやりがいやキャリアアップを目的とする転職が若者の間で増えている が、そうはいってもやはりいちばんの関心事は、「給与が上がるのか下がるのか、それはどの くらいか?」であることはいつの時代にも変わらない。教育費負担が大きく、住宅ローンが重 くのしかかる50歳代の中高年者にとっては特にそうだろう。
少し前までは、給与は年功・勤続・年齢重視で、家族や住宅状況なども加味しつつ、毎年定 期昇給やベースアップがあるのが普通であった。それが今は会社に対する具体的貢献度(どれ だけ会社の利益に結びついたか)が問われ、年俸制や成功報酬型に大きく変わりつつある。「給 与は企業の収益に対する従業員への利益配分」と考えればわかりが早いだろう。企業に利益を もたらせばもたらすほど、そのリターンとしての給与が高くなる。収益が上がらなければ企業 は払いたくとも払えないのである。
厚生労働省の雇用動向調査では、転職によって給与が高くなる人、横ばいの人、低くなる人 はそれぞれ3分の1ずつといわれている。2000年代前半の不況期、中高年が転職した場合 の年収相場は7:5:3といわれていた。現在の年収の7割ならよしとし、半分なら普通、3 割もあるよ、という意味だ。年収1千万円の人なら300万円も覚悟しなさい、という厳しい現実 を表していたのだが、今は3割でもなかなか見つからないと嘆かれている。
年功序列型給与の場合、在職年数の長い中高年者の「年功分」はおおむね4割以上と見なさ れる。したがつて、転職した時に他企業から評価される「能力分」は6割以下となる計算だ。 不況期の需要と供給を考えた時、「普通」の中高年者が大幅給与ダウンするのはやむを得ない ところだろうか。
特に、平均給与が高いといわれるマスコミ・出版・金融・商社・広告代理店といった業界か ら異業界へ移る場合、大都会から地方に、大企業から中小企業に、外資から日系企業に転職す る場合などには覚悟をしてほしい。給与に関しては、今までの延長ではなく、別世界に行くの だと心得ることも時には必要になるのだ。
中高年の希望給与を尋ねると、「前の会社ではこれだけもらっていたか ら」、「これだけ生活費が掛かるからこれだけ欲しい」、「俺にはこれだけの価値があるはずだ」 などという返事が多く返ってくる。転職先の企業にとって、これらは高い給与を払うなんの理 由にもならないことはおわかりだろう。「高値覚え」(前の企業の高い給与水準が忘れられず、 それを基準にして条件設定する)をせず、今まで積み重ねてきた給与水準を忘れて1からスター トせねばならない時もあることを心に刻んでおいてほしい。
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